任意後見契約と似た契約に財産管理委任契約があります。
財産管理委任契約とは、今、自分のかわりに財産管理を誰かに行ってもらいたい場合に利用します。
自分の財産管理を第三者に任せるという点では任意後見契約と財産管理委任契約は似ていますが、さまざまな点で違いがあります。
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1.効力の発生する時期(実際に財産管理をしてもらえるタイミング) |
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●財産管理委任契約の場合
⇒通常契約を結んだ時点や、契約で定めた時から委任契約の効果が生じます。
●任意後見契約の場合
⇒ご本人の判断能力が低下した時点で家庭裁判所に対し任意後見監督人選任の申立てがなされ、この申立てを受けた家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されてはじめて効力が生じます。
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●財産管理委任契約の場合
⇒本人と相手方との間で契約書を作成します。
●任意後見契約の場合
⇒ただ単に本人と相手方との間で契約するだけではなく、契約書を公正証書で作成する必要がありますし、契約書の内容についての様式も法務省令で定める様式(代理権目録)にそって作成することになります。
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●財産管理委任契約の場合
⇒財産管理委任契約では特に定めない場合には、財産管理委任契約の内容や受任者の仕事をチェックする人はいません。
●任意後見契約の場合
⇒任意後見契約は家庭裁判所が必ず任意後見監督人を選任します。
任意後見監督人は任意後見人の仕事ぶりをチェックしてくれるので、ご本人は安心して財産管理をまかせることができるといえます。
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●財産管理委任契約の場合
⇒財産管理委任契約は登記されませんので、公的な証明方法がありません。
●任意後見契約の場合
⇒任意後見契約は登記され登記事項証明書が発行されますので、公的な証明が出来ます。
このように、任意後見契約は財産管理委任契約と比べると、公正証書の作成や登記、任意後見監督人の選任など、手続きが煩雑で費用もかかりますが、公的な信用度が高いといえます。
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●財産管理委任契約の場合
⇒財産管理委任契約を結ぶには判断能力が必要ですから、身体障害のある方は契約できますが、知的障害のある方は契約できません。
●任意後見契約の場合
⇒任意後見の利用対象となる方も、契約時点では判断能力が必要になります。
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このように、判断能力が低下する前から
●ご自身の財産管理を信頼できる人に任せたい場合
●身体に障害があり、すぐに財産管理を誰かに代理して行ってもらいたい場合
には、財産管理委任契約を選択することになります。
任意後見制度、及び財産管理委任契約のご利用を検討されている方は、
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